2025.10.08NEW
非住宅建築の大空間、木造化の壁をどう乗り越える?(その1)
― 独自技術「コネックトラス」が拓く、大スパン木造の新たな可能性 ―

設計に携わる方なら、一度は思い描いたことがあるのではないでしょうか。
体育館や店舗、地域施設に広がる、柱のない広大な空間。
その場所が、もし無機質なコンクリートや鉄ではなく、人の心に安らぎを与える「木」で実現できたなら、と。
体育館や店舗、地域施設に広がる、柱のない広大な空間。
その場所が、もし無機質なコンクリートや鉄ではなく、人の心に安らぎを与える「木」で実現できたなら、と。
しかし、木造で大スパンを実現しようとすると、設計者は常にいくつかの課題に直面してきました。
それは、「特殊な部材によるコストの高騰」、「強度や耐久性への懸念」、そして「工期の長期化」といった問題です。
これらの課題は、脱炭素社会へ向けて木造建築への関心が高まる中でも、プロジェクト導入の障壁となっていました。
それは、「特殊な部材によるコストの高騰」、「強度や耐久性への懸念」、そして「工期の長期化」といった問題です。
これらの課題は、脱炭素社会へ向けて木造建築への関心が高まる中でも、プロジェクト導入の障壁となっていました。
その閉塞感を打ち破る鍵となるのが、私たちの木造技術「コネックトラス」です。
この技術の核心は非常にシンプルで、高価で特殊な寸法の木材ではなく、日本全国で流通している規格品の製材を組み合わせて強靭な構造体を構築する点にあります。部材の接合にはステンレス製のネイルプレートをプレス機で圧入する手法を採用しており、複雑な加工が不要なため、大規模施設で求められる多数のトラスも短い納期で納品することが可能です。
この技術の核心は非常にシンプルで、高価で特殊な寸法の木材ではなく、日本全国で流通している規格品の製材を組み合わせて強靭な構造体を構築する点にあります。部材の接合にはステンレス製のネイルプレートをプレス機で圧入する手法を採用しており、複雑な加工が不要なため、大規模施設で求められる多数のトラスも短い納期で納品することが可能です。

さらに大きな特長として、部材は工場で精密にプレカットされ、トラスの形に組まれた状態で現場へ搬入される点が挙げられます。現場での作業はクレーンによる設置が中心となるため、施工が大幅に合理化され、工期の短縮に貢献します。これにより、現場経費や人件費の削減にもつながります。

コネックトラスで実現した建築事例
この技術は、すでに国内の様々な建築物で採用されています。

設計監理:株式会社 日建設計
施工監理:株式会社 梓設計
施 工:大成建設 株式会社
木構造屋根組工事:三井ホーム株式会社
例えば、鉄骨造の阿蘇くまもと空港ターミナルビルでは、屋根部分の木造化に採用され、568㎥もの熊本県産杉が使われた大屋根が実現しました。

群馬県のGRACIAようざん綿貫では、県産材を活用した非住宅木造のZEB建築を実現しました。
最大スパン15mのトラスを採用し、構造材の約94%に地元の県産木材を使用しています。
最大スパン15mのトラスを採用し、構造材の約94%に地元の県産木材を使用しています。

より身近な商業施設の実例では、東京都のドラッグストアSEKI青梅新町店があげられます。
中間支持柱を設けることで約33.9mという広大な店舗空間を構成しました。
中間支持柱を設けることで約33.9mという広大な店舗空間を構成しました。
最後に
木造化は、これからの建築における大きな潮流となるでしょう。
鉄骨やコンクリートにはない木の温もりと環境性能を兼ね備えた大空間は、利用者に新たな価値を提供し、建築主様のブランディングにも貢献するはずです。これまで「壁」だと感じられていた課題を乗り越え、大スパン木造建築の可能性を追求する道が、今、拓かれています。
鉄骨やコンクリートにはない木の温もりと環境性能を兼ね備えた大空間は、利用者に新たな価値を提供し、建築主様のブランディングにも貢献するはずです。これまで「壁」だと感じられていた課題を乗り越え、大スパン木造建築の可能性を追求する道が、今、拓かれています。
次回のコラムでは、これらの実例の中から阿蘇くまもと空港ターミナルビルを深掘りし、プロジェクトの裏側にあった挑戦と成功の物語をお届けします。
ぜひ、お楽しみに!
ぜひ、お楽しみに!